SCRIPT:SEASON

一日早いメリークリスマス

台詞総数:40  キャラクター数:3名

子供
台詞数:21 / 店番中の子供。かなりしっかりしている。
青年
台詞数:14 / 雪の中連れとはぐれた青年。お間抜け。
台詞数:6 / 青年の連れ。
No./キャラ
台詞、備考
001 男
『外は白い雪が舞う。
 聖なる夜を祝うかのように…。』※ナレーション
002 子供
「よいしょっと」
子供は店のショーウィンドー内に装飾を施す。
003 子供
「この飾りはこっちかな」
004 子供
「ん?」
ふと、ショーウィンドーから店の前で雪の降る中、立ちすくんでいる人が見えた。子供はショーウィンドーから降りると店のドアを開ける。
005 子供
「おにーさぁん、そんなとこに立ってたら風邪引くよ。中に入りなよ」
006 青年
「ボクのこと…?」
007 子供
「他に誰がいるの?待ち合わせにしても外は寒すぎるから。中に入りなよ。押し売りしたりしないし」
008 青年
「わわわっ」
少し強引な子供に、あわてながら店に入る。
009 子供
「ほらー肩に雪積もってる!これで拭いて」
010 青年
「ああ、ありがとう」
011 子供
「クリスマス前で買い物してて友達とはぐれたとか?」
012 青年
「んーそんなもんかな…」
013 青年
「なんか、うれしそうだね」
014 子供
「だってクリスマスだよ!クリスマス!明日は待ちにまったクリスマス!あー楽しみ!」
015 子供
「仕入れなんかでお父さんは家を空けることが多いけど、絶対この日だけは家にいてくれるんだ!」
016 青年
「そうか…」
017 子供
「あ、そうだ。友達とはぐれて寂しいであろうおにーさんに、一足早いクリスマスプレゼント!」
018 青年
「紅茶の茶葉…商売道具じゃないかこれ」
019 子供
「大丈夫。それはいっぱい買ってくれた人とか、ためしに飲んでみたいーって人にあげるお試し品だから」
020 青年
「しっかりしてるんだね。えらいや。君は」
021 子供
「えへへ。いらっしゃー…」
店のドアが開き、反応して声をだす。
022 男
「ここにいたのか!」
023 青年
「あー連れがきたみたい」
024 子供
「そうか。よかったねおにーさん」
近くにあったイスに飛び乗る。
025 青年
「あれ?そういえば家の人は?」
026 子供
「今母さんはクリスマスの買出し。父さんは荷物もち。今日明日はうちは商売にならないからね。ひとりでも留守番できるんだ」
027 青年
「そうか…あ、ねぇねぇクー、ボクこの子にプレゼントもらっちゃった」
クーと呼んで、さっき現れた男に声をかけた。
028 男
「それはそれは…これはお礼をしないとね」
029 子供
「いらないよ!元々タダであげてたものだし!」
030 男
「遠慮はいらない。ちょっとしたプレゼントさ…私たちが外に出て3つ数えたらドアを開けるんだよ」
男は子供の頭を撫で、青年を連れて外へと消えていく。
031 子供
「…なんだろう」
バンッとドアを開く。
032 子供
「1・2・3」
さっきの男性は赤い服に身を包み、ソリを引いていた。
一頭のトナカイとともに。
033 男
「一日早いメリークリスマス!」
034 子供
「え…?さ、さっきのおにいさんは?」
034 青年
『ここだよここ』
トナカイが喋る。
036 子供
「ええ!?ト、トナカイ!?」
037 青年
『紅茶ありがとう。クーと一緒に飲むね』
038 男
「ささやかながらプレゼント。小さな小さなプレゼント。だけど、この瞬間はキミに一生涯の思い出に!」
赤い服の男――サンタクロースはソリに乗った。
トナカイがかける。
遠い空へと一気に。
039 子供
「メリークリスマス!」
空に叫んだ。
040 青年
―― 一日早いメリークリスマス。

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