STELLA MARIS
台詞総数:469 キャラクター数:11名
No. | キャラ | 台詞、備考 | 注釈 |
001 | 夢 | 「サンタさんって、グリーンランドってところに住んでるんだって」 | 無邪気 |
002 | 衣砂 | 「いないよ、サンタさんなんて」 | にべもなく |
003 | 夢 | 「いるんだよ、前に見たことあるんだから」 | |
004 | 衣砂 | 「いないってば。あれはパパとかママが……」 | |
005 | 夢 | 「なんでいないなんて言うの? お姉ちゃんが見たことないだけかもしれないよ」 | |
006 | 衣砂 | 「そんなに言うんだったら、パパに聞いてみればいいじゃない」 | |
007 | 耀司 | サンタクロースの存在を否定するようになったのは、いつからだったろうか。 | |
008 | 耀司 | クリスマスというと、キリストが生まれた事を祝う静かな日であるはずなのに、宗教に |
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009 | 耀司 | 「それでさ |
|
010 | 瞳子 | 「今月って言われても、12月はまだ始まったばかりだし……もっと具体的に言いなさいよ」 | |
011 | 耀司 | 「ええと、後半……」 | |
012 | 瞳子 | 「後半は忙しい。一日くらいなら開けられない事もないかもだけど、もっと詳しく聞かない限りは答えられない」 | |
013 | 耀司 | 「く、クリスマス!」 | 勇気を振り絞って |
014 | 瞳子 | 「無理」 | きっぱり |
015 | 耀司 | 「な……なんで? いつも暇そうじゃんお前。毎年恒例、皆でぱーっとクリスマスパーティなんてどうかなと思って……声、かけたんだけど、なんかそんな感じの顔じゃないな」 | |
016 | 瞳子 | 「当たり前だよ」 | |
017 | 耀司 | 「当たり前って」 | |
018 | 瞳子 | 「とにかくクリスマスは無理だからね、お兄様が帰ってくるんだもの。『クリスマスなんてクソ喰らえ、リアルソロプレイヤー狩り』主催するんだーって言ってたから、付き合う予定が入ってる。じゃあねー」 | |
きっぱりと断言され、耀司は打ちのめされた。瞳子は構わずさっさとどこかへ行ってしまう。 | |||
019 | 耀司 | 「お兄様ぁ? お前兄貴なんて……ちょっと、瞳子!?」 | |
020 | タイトル | STELLA MARIS - Cruel Christmas Tale NERVE Presents. |
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021 | 耀司 | 「兄貴だってさー、ねーよ本当。兄貴に負けたのかよ僕は! 大体あいつ兄貴なんていないだろ、誰だよマジ」 | 仕事中に愚痴 |
022 | 夜継 | 「あらあら、随分気が立ってるみたいね」 | 苦笑 |
023 | 耀司 | 「幼馴染と兄貴、どっちが大事かと比較されたら凹まざるを得ない」 | |
024 | 夜継 | 「なあに、瞳子ちゃんをデートにでも誘ったの?」 | |
025 | 耀司 | 「毎年あいつ呼んで、家族ぐるみでクリスマスパーティしてるんだよ。兄貴が帰ってくるから無理って言われた……兄貴なら別に問題なんてないじゃないかー」 | |
026 | 夜継 | 「そうねえ、お兄さんなら確かに一緒にいたって問題はなさそうだし……何か別の理由があったりして」 | |
027 | 耀司 | 「別の理由ってなに!」 | 予想外の言葉に驚く |
028 | 直紀 | 「すみません、お兄さーん。風船くださーい」 | |
029 | 夜継 | 「 |
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030 | 耀司 | 「だからそれは何だよって」 | |
031 | 夜継 | 「気になる人がいるとか……はっきり駄目って言うくらいなんだから、彼氏じゃないの?」 | |
032 | 耀司 | 「そんな馬鹿なー!」 | |
033 | 直紀 | 「ねーねー、お兄さんてばー。それ貰ってもいいー?」 | |
034 | 耀司 | 「えっ。あ、ごめん、何かご用?」 | ようやく気付く |
035 | 直紀 | 「風船だよ、その風船欲しいんだ。配ってるでしょ?」 | |
036 | 耀司 | 「ああどうぞ。飛ばさないように気をつけるんだぞ」 | |
037 | 直紀 | 「ありがとー! サンタさん、お仕事頑張ってねー!」 | |
風船を手渡すと、子供は嬉しそうに親元にそれを持っていく。 | |||
038 | 耀司 | 「で、そんな事言うって事は、 |
|
039 | 夜継 | 「いいえぇ私は別に。女の勘て言ったら納得してもらえるかしら」 | |
040 | 耀司 | 「夜継ちゃんの勘はよく当たるので恐ろしいんです」 | |
041 | 夜継 | 「本当に何も知らないわ」 | |
042 | 耀司 | 「……そうですか。何もなければいいなー」 | |
043 | 夜継 | 「耀ちゃんはサンタを信じる?」 | |
044 | 耀司 | 「この年でそんな質問聞かれるとは思わなかった……。なんで?」 | |
045 | 夜継 | 「気の利いたサンタが願い事叶えてくれるかもしれないわよ」 | |
046 | 耀司 | 「そもそもサンタも七夕も、願い事が叶う日ではないんだけどね」 | |
047 | 夜継 | 「その誤った民間意識のために私達がいるんでしょ?」 | |
048 | 耀司 | サンタクロースの存在が信用されなくなったとしても、変わらないものがある。 クリスマス商戦? 恋人との語らい? そんなのは僕らには関係ない。子供の夢を守り、子供に夢を与えるのが僕らの仕事だ。 だけど、少しくらいは期待したって罰は当たらないはず。 |
|
049 | 耀司 | 「ただいま戻りましたー」 | |
050 | 瞳也 | 「おー、お帰りー」 | |
051 | 耀司 | 「 |
|
052 | 夜継 | 「あら、久しぶりねえ瞳也君。いつぶりかしら」 | |
053 | 瞳也 | 「耀司、耀司じゃないか。お前いつから外任せてもらえるようになったんだ?」 | |
054 | 耀司 | 「結構前からだけど……いやそんな事はいいだろ。瞳也、実家出たんじゃなかったっけ」 | |
055 | 瞳也 | 「ああ、冬休みだからちょっと戻ってきただけだよ。別に出戻りじゃない。休みの間は暇してる」 | |
056 | 夜継 | 「それじゃあ、耀ちゃんとも遊べるんじゃないかしら」 | |
057 | 瞳也 | 「遊ぶ? 何か計画でも立ててるのか?」 | 興味津々 |
058 | 耀司 | 「ああ、ちょっとね」 | ※瞳子に断られたため、視線を逸らしつつ |
059 | 瞳也 | 「丁度いいじゃないか。俺も課題終わってやる事ないし、相手してやるぞ。いつだ?」 | |
060 | 耀司 | 「クリスマスにでもと思ってるんだけど……」 | |
061 | 夜継 | 「誰も誘わなかったら、家で一人でだらだら過ごすだけだものね」 | |
062 | 瞳也 | 「クリスマスか……困ったな、ちょっと予定が入ってる」 | |
063 | 耀司 | 「ゲームで引き篭もってばっかりいる瞳也にしちゃ、珍しいな」 | |
064 | 瞳也 | 「あーうん、ちょっとねえ。先約が入ってるっていうか」 | |
065 | 耀司 | 「またレベル上げか? そろそろカンストするって言ってたっけ」 | |
066 | 瞳也 | 「いや転生したから二周目」 | |
067 | 耀司 | 「相変わらずの廃人ぶりだな……。まあ無理にとは言わないさ、別の日だっていいだろ」 | |
068 | 夜継 | 「ちょっとがっかりしてるでしょ、耀ちゃん」 | |
069 | 御堂 | 「なんだね君達、クリスマスの相談事かい。学生は暇そうでいいなあ」 | 割り込む |
070 | 瞳也 | 「そんな |
苦笑 |
071 | 御堂 | 「何言ってんだ、君達も同じだぞ。クリスマスは稼ぎ時なんだからーしっかりしてもらわなくちゃ」 | |
072 | 耀司 | 「仕事はちゃんとしますよー」 | |
073 | 夜継 | 「あら会長、何か悩み事でもあるんですか?」 | |
074 | 御堂 | 「……夜継君は鋭いな。いつも通りにしてるつもりなんだけど」 | |
075 | 夜継 | 「ただの勘ですよ」 | |
076 | 御堂 | 「いや、君は魔女のような女だよ……」 | |
077 | 夜継 | 「何か仰いました?」 | |
078 | 瞳也 | 「実は妙な投書があってな。俺もさっき見せてもらったんだけど」 | 手紙を取り出す |
079 | 耀司 | 「なになに」 | |
080 | 夢 | こんにちは、しんぶんのおじさん。 わたしは6さいのおんなのこです。 じつは、おねえちゃんがサンタさんはいないというのです。 (見づらい場合はこちらで: 今日は、新聞のおじさん。私は6歳の女の子です。 実は、お姉ちゃんがサンタさんはいないというのです) |
※手紙の文面 |
081 | 夢 | パパにきいてみたら、しんぶんのひとにきいてみなさいといいました。 ほんとうのことをおしえてください。 サンタクロースはいるんですか? きりじょう・ゆめ (見づらい場合はこちらで: パパに聞いてみたら、新聞の人に聞いてみなさいと言いました。 本当の事を教えて下さい。サンタクロースはいるんですか? 霧条夢) |
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082 | 御堂 | 「どうしたもんかなー」 | |
083 | 瞳也 | 「子供らしくていいじゃないですか。微笑ましいくらいですよ」 | |
084 | 耀司 | 「それらしい事、書いてあげたらいいんじゃ?」 | |
085 | 御堂 | 「それがねえ。かの有名なサン新聞の手紙と酷似してるんだよねえ。社説で面白い紹介の仕方したの、知ってるかい」 | |
086 | 夜継 | 「それは知りませんけど、会長は悪戯だと思ってるって事ですか?」 | |
087 | 御堂 | 「分からなかったら『サンタクロースは実在するのか』で調べてみてね!」 | |
088 | 耀司 | 「でも字は子供の物でしょ」 | |
089 | 御堂 | 「記事にはなるかもしれないけど、どうしたものかなー」 | |
090 | 夜継 | 「困った事と言えば、最近お騒がせのサンタ二人組がいますよ」 | |
091 | 耀司 | 「何だそれ」 | |
092 | 御堂 | 「街中で仲睦まじいカップルを見つけては、嫌がらせをしていくサンタの格好した二人組」 | |
093 | 瞳也 | 「し、知らないなあ」 | ※片方は本人。 引きつった誤魔化し |
094 | 耀司 | 「 |
|
095 | 夜継 | 「僻みって言えば僻みかしらねえ、色々とお仕置きと銘打ってるみたいだから」 | |
096 | 御堂 | 「お仕置きねえ。こういう手紙も来る事だから、君達子供らの信頼を裏切るような真似はしないでくれよ」 | |
097 | 耀司 | 「分かってますってば、十分気をつけてるつもりですよ」 | |
098 | 御堂 | 「それと、もう一つ頭を悩ませる事があるんだけど」 | |
099 | 瞳也 | 「御堂さんがそんなに悩む事って、何があったんです」 | |
100 | 御堂 | 「怪人 |
|
101 | 耀司 | 「怪人X? アニメですか」 | |
102 | 御堂 | 「残念な事に実在するんだよ、アニメなら良かったね」 | |
103 | 夜継 | 「あら、これの事かしら」 | 御堂から封筒を奪う |
104 | 御堂 | 「ちょっと、手癖が悪いぞ夜継君!」 | |
105 | 夜継 | 「クリスマスの夜、貴方の……何? 滲んで読めないわ……を盗みに参ります。怪人X」 | |
106 | 瞳也 | 「『心』だったりして」 | |
107 | 耀司 | 「気持ち悪いな」 | |
108 | 御堂 | 「誰に宛てたのかも分からないんだよね、困った事に」 | 苦笑 |
109 | 耀司 | 「しかも文字が新聞の切り抜きですよー、このご時世パソコンで打ってプリントアウトしたらいいのに。殺害予告みたいじゃないですか」 | |
110 | 夜継 | 「気持ち悪いので無視しましょう」 | にっこり |
111 | 瞳也 | 「もう一枚入ってますよ」 | |
112 | 耀司 | 「悪辣サンタは正すべき、この私めが世直しに参上致す」 | |
113 | 御堂 | 「……こちらの業務に支障が出なければいいけど」 | ※御堂は石蕗の事を言っている。 |
114 | 瞳也 | 「そうそう、そうだった。その話ですよ。クリスマスは仕事入ってるじゃないか、何でまたクリスマスに予定を入れようとしたんだ耀司」 | ※御堂の話は仕事の事だと思い込み。 |
115 | 耀司 | 「終わったあとだよ。24時間休みなしで働くわけじゃないだろ」 | |
116 | 夜継 | 「折角瞳子ちゃんを誘ったのにふられちゃったから、気が立ってるのよ。気にしないであげて」 | |
117 | 御堂 | 「ほーう、耀司凹んでるな」 | からかう |
118 | 耀司 | 「会長には関係ないです。いいんですよ別にー。どうせ僕はクリスマスは仕事三昧ですよー、くそー」 | |
119 | 夜継 | 「怪人は放っておいても勝手に動いてくれそうだし……とりあえずは、カップルを狙って嫌がらせをしていくと言うサンタの方を何とかすべきでしょうねぇ。こちらの信頼に関わりますよ」 | |
120 | 瞳也 | 「放っておいてやった方がいいんじゃないか? あんまり被害は出てないんだろ?」 | |
121 | 御堂 | 「あんまりと言っても、実際のところもっと陰湿っていうか……」 | |
122 | 耀司 | 「どんな感じに?」 | |
123 | 御堂 | 「カップルが仲良さそうにしてたところを、口論になるように仕向けたり……」 | |
124 | 耀司 | 「そりゃ陰湿だ」 | |
125 | 御堂 | 「まあ警察沙汰にならない程度だから、どうしようもないといったところなんだけど」 | |
126 | 耀司 | 「でも、うちの業務もサンタの格好するんですよ。それも配達となれば、間違えられたらすごーく面倒な事に」 | |
127 | 御堂 | 「そうなんだよ。もしその二人組を見つけたら連れてきて欲しいんだけど、耀司と夜継君に任せて良いかな」 | |
128 | 夜継 | 「私は構いませんけど……ねぇ?」 | ※耀司がと言いた気 |
129 | 耀司 | 「気を遣わないでいいよ夜継ちゃん。やりますよ、やればいいんでしょう?」 | |
130 | 御堂 | 「おう、任せたぞー。出現場所は |
|
131 | 瞳也 | 「石蕗さんって、確か同僚の」 | |
132 | 御堂 | 「そうそう。冗談通じない奴ね」 | |
133 | 瞳也 | 「面倒くさい事になったなあ」 | 若干困惑 |
134 | 耀司 | ――そう、僕らはサンタの格好をして、クリスマスのイベント業務を代行するサンタ協会の人間なのである。 | |
135 | 耀司 | 「夜継ちゃんはいいの?」 | |
136 | 夜継 | 「何が?」 | |
137 | 耀司 | 「何か予定入ってないの? クリスマス過ぎるまでこんな調子じゃ、まともに遊べそうにもないよ。かれこれ二週間こんな感じなんだし」 | |
138 | 夜継 | 「別に予定なんてないわよ。兄さんは忙しくて帰って来れそうにないって言うし、姉さんは旦那の実家に行くって言うし。ちい兄は彼女が出来たって浮かれてたから、暫くは戻ってこないでしょうねえ」 | |
139 | 耀司 | 「あ、相変わらず家族構成の分からない家だ……」 | |
140 | 夜継 | 「会長をからかって遊ぼうにも、この時期は立て込んでるみたいだものね」 | |
141 | 耀司 | 「石蕗さんは? ほら、会長の仕事仲間の」 | |
142 | 夜継 | 「瞳子ちゃんを誘おうにも予定があるようじゃねぇ」 | スルー |
143 | 耀司 | 「スルーですか……。石蕗さんから貰ったメモは?」 | |
144 | 夜継 | 「これのこと?」 | 手紙を差し出す |
145 | 耀司 | 「石蕗さんは何か言ってた? あの人取材で忙しいって聞いてたけど」 | |
146 | 夜継 | 「ああそれなら」 | |
147 | 怪人(石蕗) | 『大変だと思いますけど……が、頑張って下さいね』 | |
148 | 夜継 | 「ですって」 | |
149 | 耀司 | 「……早いところ見つけて戻ろうよ、寒いのに張り込みなんて最悪だ」 | |
150 | 夜継 | 「待って。耀ちゃん耀ちゃん、あれ――」 | |
そういって夜継は喧嘩中のカップルを指差した。 | |||
151 | 律香 | 「信じらんね、サイッテー!」 | ※歩行者天国のど真ん中で痴話喧嘩 |
152 | 孝人 | 「待ってよりっちゃん、誤解なんだってば!」 | |
153 | 律香 | 「何が誤解だよ、れっきとした浮気だろ。アタシが気付かないとでも思ってんの?」 | |
154 | 孝人 | 「だーから、違うってば!」 | |
155 | 律香 | 「じゃあ、携帯に来てたメールは何。知らない女の名前だっただろ」 | |
156 | 孝人 | 「迷惑メールだってば。りっちゃんが言ってた診断やるのに登録したら送られてきて、こっちも迷惑してんだよ」 | |
157 | 律香 | 「そんなの言い訳だろ。男なら正直に言いな、嘘ついたってすぐにバレるんだから」 | |
158 | 孝人 | 「本当だってば! どう言や、君は納得すんの!」 | |
159 | 律香 | 「もういいよ、クリスマスもチャラな。やっぱ友達と遊ぶわ」 | |
160 | 孝人 | 「りっちゃん!? 俺の話をちゃんと聞いてよ!」 | 切実 |
161 | 律香 | 「あ、もしもし?」 | |
律香が携帯電話を取り出したところで、巨大な物体が目の前を通り過ぎる。学生は慌ててそれを避けようと尻餅をついた。 | |||
162 | 孝人 | 「うわあ! あぶな!」 | |
163 | 瞳子 | 「あっはっは、私の前でイチャイチャしようなんて100年早いわ。クリスマスは、断じて、恋人同士の日じゃないのよー」 | |
164 | 瞳也 | 「喧嘩は良くないぞー」 | |
165 | 孝人 | 「ちょっと、何ですか貴方はー! いきなり何するんですか!! 当たったら死にますよ!」 | |
166 | 瞳子 | 「死なないわよ、中身は軽いものばっかりだから。ずっと目の前でイチャイチャ、イチャイチャ鬱陶しいったらないのよ!」 | |
167 | 律香 | 「八つ当たりかよ、マジウザいんですけどー」 | |
168 | 瞳也 | 「何を言うかー、八つ当たりではないぞ。いくらここが歩行者天国とはいえ、こんな往来を占拠して痴話喧嘩してる君達にも非があるなー」 | |
169 | 瞳子 | 「いいから、ちょっとこっち来なさい」 | |
170 | 耀司 | 「何だありゃ……」 | ※影から様子を伺う。 |
171 | 夜継 | 「赤い服を着た二人組だし、問題のサンタじゃないかしら」 | |
172 | 耀司 | 「まさかー。だってあれって、どう見ても……」 | |
173 | 孝人 | 「人気のない場所に連れ込んで、何する気なんですか一体!」 | |
174 | 瞳子 | 「オラオラー、ちょっとそこで縦に飛んでみろよー。チャリチャリ言ってんだろー」 | やさぐれ |
175 | 孝人 | 「ひーん」 | |
176 | 瞳也 | 「おーい、目的が変わってるぞー」 | |
177 | 瞳子 | 「はっ、そうだったわ。あんた達怪人Xって奴知らない?」 | 我に返る |
178 | 孝人 | 「怪人? 何ですかそれ」 | |
179 | 律香 | 「頭おっかしいんじゃないの? なんかヤバそうな格好してるしー」 | |
180 | 瞳也 | 「黒服の変人なんだけど、見たこととか噂を聞いた事ない?」 | |
181 | 孝人 | 「し、知りません」 | 否定 |
182 | 律香 | 「ちょっとー、もう帰ってもいいでしょー」 | |
183 | 瞳子 | 「本当に知らないの?」 | 念押し |
184 | 律香 | 「知ってるわけなんでしょ、ふざけてんのは格好だけにしなよ。ほら孝人行くよ」 | |
185 | 孝人 | 「えぇ、ちょっと、待ってよ」 | |
学生がずるずると引き摺られながら、その場を去ろうと立ち上がる。 | |||
186 | 瞳子 | 「もー、なんでよー」 | |
187 | 瞳也 | 「仕方ないなあ、地道に探そうか」 | |
188 | 瞳子 | 「面倒くさいなぁ」 | |
189 | 怪人 | 「はーっはっは!」 | 高笑い |
190 | 孝人 | 「またですか! 今度は何!」 | |
191 | 怪人 | 「悪辣サンタがいると聞き、この私怪人Xが世直し見参! とう!」 | |
黒服を纏った男が高い場所から飛び降りる。それを見て思わず耀司は声を上げた。 | |||
192 | 耀司 | 「あーっ! 出た!」 | |
193 | 夜継 | 「耀ちゃん!?」 | 耀司の後を追う |
194 | 瞳子 | 「出たわね変人! いっつも私の邪魔ばっかりして、一体何が目的なのよ!」 | |
195 | 律香 | 「何してんの孝人! 今のうち今のうち!」 | 逃亡 |
196 | 怪人 | 「決まってるじゃないか、君達二人がろくでもないことばかりしてるから、黙って見ていられなくなったんだよ」 | |
197 | 瞳子 | 「人前でぎゃーぎゃー騒ぐバカップルが悪いのよ!」 | |
198 | 瞳也 | 「いや、お前も職質受けてもおかしくない事してるけどね」 | |
199 | 瞳子 | 「うっ、それは否定できないけどー」 | |
200 | 怪人 | 「どうやら私を探していたようだが?」 | |
201 | 瞳子 | 「探したわよ。いつもは敵前逃亡だけど、こちとら悪のサンタ協会! 逃げてばっかりじゃ格好悪いわ、受けて立とうじゃない」 | |
202 | 怪人 | 「ほーう、言ったな?」 | |
203 | 瞳也 | 「言っちゃったなぁ」 | |
204 | 怪人 | 「じゃあその心意気に免じて答えてあげよう。君の行動は少し目に余る。君を追い回している新聞社のためを思うなら、君を叱る人間がいるべきだ。何せ私は正義の味方。君を正そうと私が出てくれば、彼女は出てくるに違いない」 | |
205 | 瞳子 | 「彼女?」 | |
206 | 怪人 | 「かの麗しの君、しかし魔女のような女だよ」 | |
207 | 瞳也 | 「魔女ねぇ、聞き覚えがある気がするなあ」 | |
208 | 怪人 | 「予告状は既に出した。あとは彼女が来るのを期待するだけさ」 | |
209 | 瞳也 | 「予告……あ!」 | |
210 | 瞳子 | 「え? お兄様心当たりあるの?」 | |
211 | 瞳也 | 「いや、その、ちょっとあるかも」 | |
212 | 怪人 | 「さあ |
|
213 | 瞳子 | 「何すんのよ! 寄らないで、変人!」 | |
214 | 怪人 | 「失礼だな、私は紳士だぞ」 | |
215 | 耀司 | 「瞳子! 無事か!?」 | 飛び出す |
216 | 瞳子 | 「耀司!? なんでここにいんのよ! っていうか、しまった、私今瞳子じゃ」 | |
217 | 瞳也 | 「げっ、耀司!」 | |
218 | 耀司 | 「おい変人! ちょっと待ったぁ!」 | |
219 | 怪人 | 「んん?」 | |
220 | 耀司 | 「これを見ろー! 出でよー、聖剣エクスカリバール!」 | |
221 | 瞳也 | 「攻撃力は上がるが命中率ダウン、レベル60から装備できるぞ!」 | 説明口調 |
耀司は近場に放置されていたバールを手に、振り上げる。 | |||
222 | 怪人 | 「バールじゃないか! 馬鹿、それはやめろ、お前殺人犯になるぞ!」 | 引きつる |
223 | 耀司 | 「うるさーい、瞳子を離せ!」 | |
224 | 怪人 | 「いいから落ち着け、落ち着いてそれを置くんだ。それだけは駄目だ、君も私も大変な事になるぞ。そして君がいると言う事はだな」 | |
225 | 耀司 | 「変質者は今俺が退治してやる、待ってろ瞳子ー!!」 | |
226 | 怪人 | 「話聞いてないし! くそ、こうなったら予定変更だ、出直してくるしかない!」 | |
怪人が悲鳴を上げ、目の前に飛び出した夜継が懐に飛び込む。 | |||
227 | 夜継 | 「瞳子ちゃん! こっちへ!」 | |
228 | 怪人 | 「この子は頂いて行くぞ! フハハハハ!」 | 高笑いで逃走 |
229 | 瞳也 | 「待て、逃がさないぞ!」 | |
230 | 耀司 | 「瞳子!」 | |
231 | 瞳子 | 「私はこっち!」 | |
232 | 瞳也 | 「あれ、瞳子? じゃあ誰が……」 | |
233 | 耀司 | 「夜継ちゃん? 夜継ちゃんがいない!」 | |
234 | 瞳子 | 「さっき夜継が庇ってくれたの」 | |
235 | 直紀 | 「ねえねえ、これって何かの撮影?」 | |
236 | 瞳也 | 「え……君、どこから来たんだ?」 | |
237 | 直紀 | 「サンタさん対怪人X! 戦うサンタさんカッコイイ!」 | |
238 | 耀司 | 「こっ、子供に見られたー!」 | |
239 | 怪人 | 「さて、ここまで逃げればひとまず大丈夫かな。君には少し大人しくしててもらうよ、瞳子ちゃ……」 | |
240 | 夜継 | 「残念だけど、私は瞳子ちゃんじゃないわよ」 | |
241 | 怪人 | 「夜継君ー!?」 | 仰天 |
242 | 夜継 | 「お目当ての子じゃなくてお生憎様ね、怪人さん。私に会いたいようだったけれど、一体何が目的だったのかしら?」 | |
243 | 怪人 | 「フ、フフフ、それはだな」 | |
244 | 夜継 | 「来ないで頂戴」 | ファブリーズ |
245 | 怪人 | 「ぐあーなんてことをする! いきなりファブられたああ!」 | |
246 | 夜継 | 「あの子達二人が先に騒ぎを起こしたのか、それとも貴方が先に騒ぎを起こしたのか、私はどちらでも構わないけど。こういう手の込んだ事は、せめて警察沙汰にならない程度にして頂戴ね。私がお父様に怒られるのよ、このクズめ」 | |
247 | 怪人 | 「流石だ夜継君、マゾ心をくすぐられるよ」 | |
248 | 夜継 | 「様をつけろよ、この野郎」 | |
249 | 怪人 | 「夜継君、俺様だ! 踏んでくれ! 是非!」 | |
250 | 夜継 | 「様をつける場所が違うわよ。普段は堅い真面目な人だとばっかり思ってたのに、がっかりだわ石蕗さん」 | |
251 | 怪人 | 「おや、怪人の正体を知っては命がないぞ」 | |
252 | 夜継 | 「あら、紳士なんでしょう? 妙な事はしないって期待してるわ」 | |
253 | 怪人 | 「しないしない。勿論しないとも。予定は滅茶苦茶になってしまったが、私は別に君でも構わない」 | |
254 | 夜継 | 「何か計画があるようだけど、当初はどうするつもりでいたの? それくらいは聞かせて貰っても良いわよね、被害者なんだし」 | |
255 | 怪人 | 「瞳子ちゃんをさらったら耀司が来ると思ってね。あの二人を放って置いたらもどかしいというか、耀司があんまりに可哀想すぎるのでー」 | |
256 | 夜継 | 「ところが、間違えて私を連れてきてしまったと」 | |
257 | 怪人 | 「そういうことです。ところで君、血液型は?」 | |
258 | 夜継 | 「輸血が必要になるような危険な業務があるんですか?」 | |
259 | 怪人 | 「くっ、ガードが固い! まあいい、全てはこれが終わってからだ。君には暫し人質になってもらわなければね」 | |
260 | 夜継 | 「高くつくわよ」 | |
261 | 怪人 | 「君だって本望だと思うんだけどな。なんてったって、私が呼び出すのは耀司達だぞ」 | |
262 | 夜継 | 「そっ……そうね、ということは瞳子ちゃんが私を助けに来てくれるのかしら、ウフフ」 | ぐらりと気持ちが揺らぐ |
263 | 怪人 | 「……あの生意気娘の何がいいのかさっぱり分からん!」 | |
264 | 耀司 | 「困ったな、夜継ちゃんだから何とかなるかもしれないけど、やっぱり心配だ……。で、何でこんな事したんだ、瞳子。おい逃げるなそっちのサンタも。お前瞳也だろ」 | |
途端に静まり返ってしまった現場で、やり場のない不安を覚えながら耀司が尋ねる。 | |||
265 | 瞳也 | 「いつから気付いてた?」 | |
266 | 耀司 | 「いつからも何もそのまんまだろ」 | |
267 | 瞳也 | 「やっぱ耀司にはバレバレだったかー」 | |
268 | 耀司 | 「まったくもー、瞳子の所為だぞ。お前がこういう騒ぎを起こすから、あんな変な奴呼び寄せるんだ」 | |
269 | 瞳子 | 「それは! ……それは、悪いと思ってるけど……」 | 図星 |
270 | 瞳也 | 「耀司ー、瞳子の言い分も聞いてやれよ」 | |
271 | 耀司 | 「昔から悪戯好きでよく問題起こすけど、その度痛い目見てるじゃないか。いい加減学べよ」 | |
272 | 瞳子 | 「よ、耀司に言われなくたって分かってるわよ……耀司が機嫌悪いのも、全部私の所為だって言いたいんでしょ! 分かったわよ、私が責任持って夜継を助けに行くわよ!」 | |
273 | 耀司 | 「待てよ瞳子、そうじゃない! 何もそこまでは……」 | |
274 | 瞳子 | 「耀司の手なんて借りない!」 | |
275 | 耀司 | 「おい、待てってば! 瞳子! そうじゃないんだって」 | |
276 | 瞳也 | 「あちゃー……ありゃ引っ込みがつかなくなったな、暫く帰って来ないぞ」 | |
277 | 耀司 | 「別にそこまで言うつもりじゃ……」 | |
278 | 瞳也 | 「分かってるよそんな事」 | 呆れる |
279 | 耀司 | 「やめさせなかった瞳也も同罪だぞ」 | |
280 | 瞳也 | 「瞳子が楽しそうだから、それでいいと思ったんだよ」 | 投げやり |
281 | 耀司 | 「他人に迷惑かけてるだろ、止めろよなホント。大体お前は瞳子に甘すぎる」 | |
282 | 瞳也 | 「仕方ないだろー」 | |
283 | 耀司 | 「なんで仕方ないんだよ」 | |
284 | 瞳也 | 「妹だから」 | |
285 | 耀司 | 「妹?」 | 反芻 |
286 | 瞳也 | 「そう、妹」 | |
287 | 耀司 | 「じゃあ、お兄様ってお前の事だったのかー!!」 | |
288 | 瞳也 | 「言ってなかったっけ、うちの養子になったんだよ」 | |
耀司が叫ぶのをよそに、瞳也が苦笑する。そこで突如携帯が鳴った。 | |||
289 | 耀司 | 「あれ、誰からだ?」 | |
290 | 瞳也 | 「メールかー?」 | |
291 | 耀司 | 「電話。会長からだ。会長、何かあったんですか!」 | |
292 | 御堂 | 『今どこにいるんだい、すぐ戻って来るように』 | |
293 | 耀司 | 「すぐって……もしかして、夜継ちゃんの居場所の連絡が入ったんですか!?」 | |
294 | 御堂 | 『その通り。何故か僕のところに捨てアドレスらしきところからメールが届いたんだけど、君達に見てもらった方が良いと思ってね』 | |
295 | 耀司 | 「読んで下さい」 | |
296 | 御堂 | 『鵠夜継は預かった。返して欲しくば新聞社裏の倉庫まで来られたし』 | |
297 | 瞳也 | 「新聞社って御堂さんのところで良いんですかね」 | |
298 | 御堂 | 『多分そうだろうな。ご丁寧に地図も添付されてるよ。必要ならこの後送るけど』 | |
299 | 耀司 | 「一応下さい」 | |
300 | 御堂 | 『分かった。そのまま向かうのかい?』 | |
301 | 耀司 | 「勿論!」 | |
302 | 御堂 | 「やれやれ、どうしてこんな事に巻き込まれたのやら」 | 通話切断後、溜め息 |
303 | 瞳子 | 「考えてみれば、人生そのものがクソゲーよね。今までが酷かった事をすっかり忘れてたわ。今までの事を考えたらなんて事はないわよ、耀司に信じて貰えないくらい。そうよ、もう怖い物なんてないわよ。見てなさいよ……」 | |
バット片手に瞳子が倉庫前に佇む。 | |||
304 | 瞳子 | 「出てきなさい、怪人! 夜継を返しなさーい!」 | |
305 | 怪人 | 「単独で乗り込んで来ちゃった……しかも装備がバット」 | |
306 | 夜継 | 「あら瞳子ちゃんが私を助けに来てくれるなんて!」 | |
307 | 怪人 | 「夜継君ー! そんな女はいい、俺を見ろ!!」 | |
308 | 夜継 | 「私の瞳子ちゃんに向かって『そんな』とは、どういった了見ですか?」 | |
309 | 怪人 | 「いえ、なんでもありません。あの娘の何がいいんですか夜継様」 | 気圧される |
310 | 夜継 | 「不良ぶってた瞳子ちゃんも悪くなかったけど、いい子になろうと頑張ってる今の瞳子ちゃんも見ていて可愛い」 | |
311 | 怪人 | 「分からん……クソ生意気で鬱陶しいだけじゃないか……」 | |
312 | 夜継 | 「大丈夫ですよ、石蕗さんだって装備がないわけではないでしょう?」 | |
313 | 怪人 | 「こっちは杖なんですけどね」 | |
314 | 夜継 | 「頑張って退治されて下さいね」 | |
夜継の棘だらけの笑顔に見送られ、怪人はとぼとぼと歩き出した。 | |||
315 | 瞳子 | 「私とお兄様の邪魔ばっかりする不審者は、この私が警察に突き出してあげるわ。私だってお咎めなしってわけにはいかないでしょうけど」 | |
316 | 怪人 | 「何故巻き添えにするのかと」 | |
317 | 瞳子 | 「どうせ私も怒られるんだもの。やってる事は大して変わらないわ、同罪よ」 | |
318 | 怪人 | 「残念だが成人男性相手に子供の君じゃ、腕力では適わんよ」 | |
319 | 瞳子 | 「それはどうかしら!」 | |
白い袋から取り出した硬球を放り上げ、怪人に向けて打つ。 | |||
320 | 怪人 | 「うわわ」 | |
321 | 瞳子 | 「せい!」 | |
322 | 怪人 | 「瞳子ちゃん! 野球のボールと言うのはだね! 当たると痛いんだよ!」 | |
323 | 瞳子 | 「知ってるわよ! それが何!?」 | |
324 | 怪人 | 「君は私を殺す気か!」 | |
325 | 夜継 | 「瞳子ちゃん、あわよくば当ててしまいなさい」 | |
326 | 瞳子 | 「あはははははは!」 | |
327 | 夢 | 「お姉ちゃん、こっちこっち。こっちだよ。はやくはやくー」 | ※倉庫外から |
328 | 衣砂 | 「夢、こんなところにサンタさんがいるわけないでしょ」 | |
329 | 夢 | 「本当に見たんだってば」 | |
330 | 衣砂 | 「何かと見間違えたんだよ。大体サンタの格好してるお店の人なんて、この時期いっぱいいるんだから」 | |
331 | 夢 | 「お店の人っぽくなかったもんー」 | |
332 | 怪人 | 「ちょっと待った瞳子ちゃん」 | |
333 | 瞳子 | 「何よ」 | |
334 | 怪人 | 「何かまずそうな雰囲気ではないかね」 | |
335 | 瞳子 | 「何がよ」 | |
336 | 夜継 | 「外から子供の声が聞こえてくるようね」 | |
337 | 夢 | 「本当にサンタさんがいたんだってば、お姉ちゃんにも見せたげるよ。ゆめ、嘘なんてついてないんだから」 | |
338 | 衣砂 | 「だからそれはきっと本物じゃないって……」 | |
夢が指差した先を確認し、衣砂が固まる。 | |||
339 | 夢 | 「ほら、サンタさん!」 | |
340 | 怪人 | 「げっ、子供!」 | |
341 | 衣砂 | 「もしもし、あの、警察ですか!」 | 通報 |
342 | 怪人 | 「わー! ちょっと待ったー!!」 | |
慌てて携帯を取り出した衣砂を押さえ込もうと怪人が走る。 | |||
343 | 衣砂 | 「へんたーい!」 | |
344 | 瞳子 | 「やってくれたわね、変人。これで遠慮なく退治できるわ」 | |
345 | 怪人 | 「えっ、ちょっと!」 | |
346 | 瞳子 | 「子供を人質に取ろうなんて良い根性してるわね」 | |
347 | 怪人 | 「取ってないじゃないか! よく見ろ、君の目は節穴か!」 | |
348 | 夜継 | 「そう、根性腐ってるわね……色々酷い目に遭わせてくれたじゃない」 | |
349 | 怪人 | 「いつ!? どんな!」 | |
350 | 夜継 | 「私の口からはとても言えないわ……」 | |
351 | 怪人 | 「捏造やめて!」 | |
352 | 瞳子 | 「最低だわ……最低よ変人、女の敵。許せない!」 | |
353 | 夢 | 「たすけてー」 | |
354 | 瞳也 | 「子供の声だ! 耀司、こっちだ!」 | |
駆けつけた瞳也が倉庫を見つける。 | |||
355 | 耀司 | 「瞳子、夜継ちゃん! 二人とも無事か!? なんともないな?」 | |
356 | 瞳子 | 「耀司! なんであんたがここに来てんのよ!」 | |
357 | 耀司 | 「それよりこれはどういう事だ? どうなってるんだ」 | |
358 | 瞳也 | 「人質は夜継ちゃんだけじゃなかったのか」 | |
359 | 瞳子 | 「あの変人が子供を人質に取ったのよ、卑怯でしょ!」 | |
360 | 耀司 | 「なんだって?」 | |
361 | 怪人 | 「色々ある事ない事追加されてない!?」 | |
362 | 耀司 | 「瞳也、子供を頼む」 | |
363 | 瞳也 | 「いいけど、そっちはお前だけで大丈夫か?」 | |
364 | 耀司 | 「多分。そんなに強くなさそうだし」 | |
365 | 怪人 | 「それどころか既にボロボロです!」 | |
366 | 夜継 | 「そんなに強くないから大丈夫よー」 | |
367 | 瞳子 | 「なんで、なんで耀司がここにいるのよ……」 | 動揺 |
368 | 耀司 | 「大丈夫か瞳子。それ貸せ、バット」 | |
369 | 瞳子 | 「私の事信用してなんかなかったでしょ、何であんたここにいるのよ」 | |
370 | 耀司 | 「な、なんで泣いてんの?」 | |
371 | 瞳子 | 「泣いてない!」 | |
372 | 耀司 | 「あ、分かった。おい変人! 瞳子を泣かせたのはお前か!」 | |
373 | 怪人 | 「断じて私の所為ではない。ずるいな女の涙は! ちょっとー少し助けてよー夜継君ー」 | |
374 | 夜継 | 「……きっかけ作ったのは貴方だし、仕方ないんじゃない?」 | |
375 | 怪人 | 「夜継君ー!?」 | |
376 | 耀司 | 「オラァ、変人! 成敗!」 | |
瞳子から奪い取ったバットでぼこりと一発殴る。 | |||
377 | 瞳也 | 「怪人を倒した! 強さが3上がった。仁科耀司はレベルアップした。レベルう |
|
378 | 耀司 | 「黙れゲーム脳」 | |
379 | 夜継 | 「あらー、良かったじゃない。手加減してもらえたじゃない」 | 伸びてる石蕗を覗き込む |
380 | 衣砂 | 「ほら、やっぱりサンタさんなんていなかったんだ」 | |
381 | 夢 | 「そんなぁ……」 | |
382 | 瞳也 | 「ああヤバイヤバイ」 | |
瞳也が慌ててポケットを探り、フォローしようと子供に近付く。 | |||
383 | 衣砂 | 「ね、お姉ちゃんが言ったのは間違いではなかったでしょ? 分かったらあんな手紙、もう出さないの」 | |
384 | 瞳也 | 「ねえねえ、君達お名前は?」 | |
385 | 衣砂 | 「知らない人には答えちゃ駄目って、ママが言ってた」 | |
386 | 瞳也 | 「うっ、怪しい人じゃないよ」 | |
387 | 夢 | 「ゆめ、っていうの」 | |
388 | 瞳也 | 「ゆめちゃんか」 | |
389 | 夢 | 「お兄ちゃんはサンタさんなの?」 | |
390 | 衣砂 | 「サンタの格好してるだけの人よ」 | 断言 |
391 | 瞳也 | 「一応証明書があるんだけどなあ」 | 困り気味 |
392 | 衣砂 | 「『サンタ協会日本支部』……なにそれ」 | |
393 | 瞳也 | 「サンタは世界中の子供達にプレゼントを配るのが仕事だからね。一人じゃ大変なんだよ。僕はちゃんと許可を貰って、サンタの長老の手伝いをしてるんだよ」 | |
394 | 夢 | 「ゆめも大きくなったら、サンタさんのお手伝いしたい!」 | |
395 | 瞳也 | 「じゃあ、クリスマスイブの夜までに、『大きくなったらサンタクロースになりたいです』ってお手紙を書くんだ。いつもいい子にしてれば、候補になれるかもね」 | |
396 | 衣砂 | 「……本物なの?」 | |
397 | 瞳也 | 「本局に問い合わせてみる?」 | |
398 | 衣砂 | 「そ、そこまで言うなら信じる……あんまり信じられないけど」 | |
399 | 瞳也 | 「それと、ここで何があったか言わないように。お兄さんからのお願いだ」 | |
400 | 衣砂 | 「パパにも?」 | |
401 | 瞳也 | 「パパにもだ。サンタさんとの約束だよ」 | |
402 | 夢 | 「分かった!」 | |
403 | 瞳也 | 「よーし、いい子だ。これをあげよう」 | |
404 | 夢 | 「お菓子だ! 有難うお兄ちゃん!」 | |
405 | 瞳也 | 「どういたしましてー。気をつけて帰るんだぞー」 | |
子供達が去った後、夜継が感心する。 | |||
406 | 夜継 | 「瞳也君、用意が良いのねえ」 | |
407 | 瞳也 | 「いざという時のためにちょっとお菓子用意しておいたんですよー、子供が相手じゃないと通用しないけど。手持ちの物以外は瞳子が持ってたし」 | |
408 | 耀司 | 「瞳子、おい大丈夫か?」 | |
409 | 瞳子 | 「煩い」 | |
410 | 耀司 | 「おい。なんで泣いてんだよお前」 | |
411 | 瞳子 | 「あんたの所為よ、馬鹿ー!」 | |
412 | 耀司 | 「待てってば! 意味分かんないぞ!」 | |
慌てて瞳子を追って出て行った耀司を見送りながら、夜継が振り返る。 | |||
413 | 夜継 | 「瞳也君は追いかけなくてあげなくていいの?」 | |
414 | 瞳也 | 「俺が行ったって仕方ないでしょ。折角だから二人きりにさせてあげようよ」 | |
415 | 夜継 | 「それもそうね。耀ちゃんはクリスマスふられてたものね。変人の計画通りなのが納得いかないけど」 | |
416 | 瞳也 | 「それより石蕗さ……怪人は?」 | |
417 | 怪人 | 「いたーい」 | |
418 | 夜継 | 「自業自得ってところかしらね」 | |
419 | 瞳也 | 「仕方ないなあ。治療くらいはしてやるか」 | |
420 | 瞳子 | 「何でついてくんの、どうせ怒るんでしょ」 | |
421 | 耀司 | 「怒ってない」 | |
422 | 瞳子 | 「じゃあ何なのよ一体!」 | |
423 | 耀司 | 「え、いや、な……なんでだったっけっかな……怒ってるといえば怒ってるけど」 | |
424 | 瞳子 | 「忘れたの? 馬鹿じゃないの?」 | |
425 | 耀司 | 「う、煩いな、どうでも良くなったんだよ。何でお前あんな事したんだ」 | |
426 | 瞳子 | 「サンタの件なら、怒られるの分かってるから答えるつもりはない」 | |
427 | 耀司 | 「夜継ちゃんの件だ。一人で行ったら危ないのは分かってただろ」 | |
428 | 瞳子 | 「どうにでもなると思ったんだもん」 | |
429 | 耀司 | 「何かあったらどうするつもりだったんだ、ハラハラしたじゃないか!」 | |
430 | 瞳子 | 「何でアンタがハラハラすんのよ」 | |
431 | 耀司 | 「い、いや別に……それよりお前、瞳也ん家の養子になったなんて話、聞いてないぞ」 | 誤魔化し気味 |
432 | 瞳子 | 「誰から聞いたの?」 | |
433 | 耀司 | 「瞳也だよ。何で僕に言ってくれなかったんだ、幼馴染だろ」 | |
434 | 瞳子 | 「言う程の事じゃないと思ったの」 | |
435 | 耀司 | 「それにしたって……」 | |
436 | 瞳子 | 「耀司は知ってるでしょ。お父さんもお母さんも、私みたいな娘はいらないって親戚中たらい回しにされてた事。私に優しくしてくれたの、お兄ちゃんくらいだったし。それまでは夜継にも世話になっちゃったし」 | |
437 | 耀司 | 「夜継ちゃんに? なんで?」 | |
438 | 瞳子 | 「警察の偉い人の娘なんだよ、知らないの?」 | |
439 | 耀司 | 「マジっすか」 | |
440 | 瞳子 | 「夜継が本気で私の事怒ってくれたから、悪い事はもうやめようと思ったんだけど……」 | |
441 | 耀司 | 「反省は分かったけど、サンタの格好で嫌がらせしてたのは?」 | |
442 | 瞳子 | 「最初は喧嘩してるカップルの仲裁だったんだよ。お兄ちゃん誘ってみたらさ、いいよって。段々エスカレートしちゃって」 | |
443 | 耀司 | 「……エスカレートってもんじゃなかったぞ。お前、ただでさえ周りが見えなくなるんだから、瞳也を巻き込むなよな」 | |
444 | 瞳子 | 「お兄ちゃん優しいから、なんでも言う事聞いてくれるんだ。こんな馬鹿みたいな事にまで付き合ってくれてさ、それでつい甘えちゃって……でもやっぱり、何か違うんだよ。私には、駄目な事はちゃんと怒ってくれる人がいいみたい」 | |
445 | 耀司 | 「……僕で我慢しろよ」 | |
446 | 瞳子 | 「なにそれ」 | |
447 | 耀司 | 「お前に振り回されたら、瞳也の身が持たないだろ。僕で我慢しろって言ってるんだよ、付き合ってやるからさ」 | |
448 | 瞳子 | 「……耀司って、時々わけ分からない事言うよね」 | ぽつり |
449 | 耀司 | 「人の好意につけこんで、お前と言う奴は!」 | |
450 | 瞳子 | 「本当の事じゃん~」 | |
451 | 耀司 | 「それで、お前が持ってた袋の中身はなんだったんだ?」 | |
452 | 瞳子 | 「失敗したケーキ。クリスマスに家で焼こうと思って、練習してたやつ」 | |
453 | 耀司 | 「そんなもん投げるな! お前今までよく補導されなかったな! やっぱ一度怒られるべきだ!」 | |
454 | 瞳子 | 「うう、分かってる! あの二人しょっちゅう喧嘩してて顔覚えてるから、今度見かけたらちゃんと謝るってば!」 | |
455 | 耀司 | 「もしかしてあの二人組以外は」 | |
456 | 瞳子 | 「八つ当たりしたのはあの二人だけ。あとの騒ぎは怪人」 | |
457 | 耀司 | 「本当か?」 | |
458 | 瞳子 | 「そんな事で嘘はつかない」 | |
459 | 耀司 | 「……そういえば、怪人って結局……」 | |
460 | 御堂 | 「あーこれは手ひどくやられたねぇ、まあ仕方ないか」 | 苦笑 |
461 | 怪人(石蕗) | 「途中で御堂が裏切るとは思ってなかった……てっきりこちらについてくれると思っていたのに」 | |
462 | 御堂 | 「裏切るも何も、僕があんなものやったらバレバレだろう?」 | |
463 | 夜継 | 「あの二人は、石蕗さんだって事に気付いてないみたいですけどね」 | |
464 | 瞳也 | 「手加減してくれたんだから良いじゃないですか。明日は筋肉痛かもしれませんけど」 | |
465 | 夜継 | 「ドサクサに紛れて下心発揮してるんだもの、誉めるところがないわ」 | |
466 | 瞳也 | 「下準備にしても、ちょっとやりすぎてますよ」 | |
467 | 怪人(石蕗) | 「肝心のあの二人は上手くいったんですかね。こうして体を張ったんだから、それ相応の結果は待ってるでしょうね!?」 | |
468 | 瞳也 | 「無理だと思いますよー、互いに好意に気付いてないから」 | |
469 | 怪人(石蕗) | 「殴られ損かよー!!」 |