SCRIPT:SHORT

傍迷惑な日常

台詞総数:87  キャラクター数:4名

双葉フタバ
台詞数:34 / 主人公で椎野家長女。ろくでなし兄弟の面倒を親に押し付けられては切れる、悩める17歳。兄弟相手なら負け知らずなのに妹にだけは頭が上がらない。
幹雄ミキオ
台詞数:28 / 椎野家三男。三度の飯よりゲーム好きなゲーヲタ予備軍。非常に生意気な性格(双葉限定)、よって双葉からの怒鳴られ率は家族の中で2番目に高い。夜更かしが日常茶飯事であるわりに早起き、ただしその分授業中は半分寝ているという、先行きが若干不安な小学6年生。
ジロー
台詞数:16 / 治朗ジロー。椎野家次男で、双葉の双子の兄。言うまでも無く双葉からの怒鳴られ率が一番高いのはこの男。話す時は常時死語と英語塗れな変わり者。寧ろ変態。英語を多用する割に英語の成績は悪いのでこの上無く救えない。鬱陶しい話し方の所為か、双葉には怒鳴られるだけで無く容赦なく蹴り飛ばされる事も多々あり。
三恵子ミエコ
台詞数:8 / 椎野家次女で、幹雄の双子の姉。真打ち。兄弟には容赦の無い双葉も彼女にだけは適わない。甘い物好きで、何かと双葉に(強制ではないが)奢らせることが多々ある。実は双子と言いつつ日をまたいで生まれており、幹雄がギリギリ遅生まれ、自身がギリギリ早生まれなので学年が違う。よって歳は幹雄と同じでありながらも学年は一つ。
No./キャラ
台詞、備考
001 幹雄
「馬鹿兄貴ー洗面所空いたぜ」
002 ジロー
「オーミッキーブラ……」
003 幹雄
「みっきーじゃねぇっつってんだろ! 気持ち悪い呼び方すんな!」
004 ジロー
「でも皆ユーのコトそう呼びマース。とにかく、ビッグブラザーに向かって馬鹿とはナンセンス!」
005 幹雄
「ビッグってなんだよ! 俺知ってんぞ、大きいって意味なんだろ? 姉貴より背がちっせぇくせに自分で自分の事ビッグって馬鹿じゃねぇの!」
006 ジロー
「オーそういうコトじゃアリマセーン。双葉関係ナーイ。コレはユーとミーの話デス!」
007 幹雄
「う、うるさいやい! 大体大体、兄貴は……」
008 三恵子
「朝から二人とも賑やかだね~」
そんな中、ある寝室からけたたましく鳴り響く目覚まし時計のベル。
乱暴に振り下ろした手は目覚まし時計を直撃し、その衝撃に耐え切れなかった時計は無残に砕け、他のウン十個の犠牲者の仲間入りを果たした。
自分がしでかした事を気にも留めず、椎野双葉は寝惚け眼を擦りつつ欠伸交じりの声を漏らす。
009 双葉
「あーあ馬鹿やった、何で昨日の晩目覚まし切っとかなかったんだろ。土曜なんだから、もう少し、眠てよ……」
独り言をぼやきつつ、再度布団に潜り込もうとした瞬間、弟・幹雄が部屋に飛び込んで来た。
010 幹雄
「姉貴ー姉貴ー姉貴ー姉貴ー姉貴ー……」
幹雄の声に若干怒りを覚えつつ、双葉は再度布団から頭を出した。
011 双葉
「ハイハイハイハイ、分かったからちょっと黙って」
012 幹雄
「姉貴オッハー」
無邪気な声に軽く笑みを浮かべたのも束の間、弟の口から飛び出した発言に、言葉を失う双葉。
013 双葉
「み、幹雄? おっはーって言葉はどこで聞いたのよ?」
014 幹雄
「兄貴の真似。鬱陶しいだろうと思って」
015 双葉
「あの馬鹿ジローめ、変な事ばっかり吹き込むんだから……」
016 幹雄
「つーか起きろよ~俺早く起きすぎて飯まで暇なんだよ。なーなー姉貴~起きろよ~」
しつこい弟に思わず切れる。
017 双葉
「ええ加減にせんかこのヴォケェ! こちとら寝起きで気分悪いんじゃ!」
先刻までの眠気はどこへやら。容赦無く怒鳴り飛ばす双葉であったが、肝心の幹雄は一瞬きょとんとした表情を見せたと思えば、すぐに笑顔を双葉に向けた。
018 幹雄
「へーい、とりあえず後で呼びに来る」
019 双葉
「来なくていいって。……朝からなんであんな元気なんだか……。っていうか、昨日寝たの遅かったんだし、やっぱもう一度寝よ……」
退室する幹雄に視線を向けていたものの、双葉は随分と気だるい様子だった。この上なく眠そうな声を漏らした双葉の手が布団を再度掴んだ瞬間、再び彼女の部屋のドアが乱暴に開かれた。
020 幹雄
「ただいまー」
021 双葉
「……ただいまってここ私の部屋! っていうかなんでこんなすぐに戻ってくるのよ」
心底嫌そうな表情を、双葉は来訪者・幹雄に向けた。
022 幹雄
「とにかく早く起きろよ~飯が冷める」
023 双葉
「……いや、だから、今さっきご飯の時間までの暇潰しがどうのって」
024 幹雄
「たまたま他の連中皆起きてるからって、母さん5分ぐらいで準備してた。しかも手ェ抜いてないらしい」
025 双葉
「いや、週末ぐらいもう少しのんびりしようって! ていうか何で皆そんな早いの!」
026 幹雄
「とにかく起きろよ! オレの飯が~!」
027 双葉
「うっさい、あたしは寝たいんだから!」
028 幹雄
「冷めるだろぉが!」
029 双葉
「知らん! 先に食ってりゃ良いじゃん、もう……」
030 幹雄
「母さんがうるせぇんだよ~双葉姉起こさねぇと食えねえって言うんだから!」
031 双葉
「はぁ……ねぇ、みっきー?」
突然声のトーンが変わる双葉。異変に気付いた幹雄の顔色が急激に青ざめていく。
032 幹雄
「え゛……」
033 双葉
「確かさ~クリア直前なんだっけ~あのゲーム」
034 幹雄
「な、何の事でございましょうかお姉様?」
035 双葉
「あのデータさぁ~消しても良いんだけど~?」
036 幹雄
「そ、そんな事したら俺が姉貴のデータを……」
037 双葉
「いいよ~バックアップとってあるから~」
038 幹雄
「うっ……し、仕方ないじゃん! 俺は母さんに……」
039 双葉
「『姉貴はまだ寝てるって』って言えば納得してくれるでしょ?」
040 幹雄
「そんな事言わずに起きてクダサイお姉様!」
041 双葉
「確か、あの隠しキャラ出すの大変だったんだよね~誰だっけ~あの剣士?」
042 幹雄
「て、テメェ俺のジャスティン様に何する気だこのドブス!」
043 双葉
「うっせぇんだよこのゲームオタクが! 平面体には様付けしてるくせして目の前に居る生身の人間の事はドブスってのはどういうコトだよこのドボケ!?」
044 幹雄
「ギャー! す、すみません!」
脱兎の如く部屋から逃げ出す幹雄の姿を見つめる双葉の表情は随分と清々しかった。
045 双葉
「まぁ、あんな事言っちゃったけど、皆起きてるなら仕方ないかな」
そう言って立ち上がる双葉。部屋を出て向かった先は洗面所だった。
ドアをノックし、中の人物に声を掛ける。
046 双葉
「ねぇ、使いたいんだけどあとどれくら……い?」
言い終わる前に開かれるドア。その先には、幹雄以上に朝から顔を拝みたくない相手、次兄・治朗の姿があった。
幹雄を怒鳴り飛ばした後の清々しさはどこへやら、起床後10分以内に今日1日分の疲労が圧し掛かって来たかのような感覚を覚える双葉。
047 ジロー
「オ~グッドモーニン、ボクのアザーハーフ。朝からあんなビッグなヴォイスを出せるなんて、ユーは低血圧じゃないですネ~」
048 双葉
「……なんでアンタがここに居るんですか」
049 ジロー
「当然ユーがミーより遅く起きてきたからデース」
050 双葉
「とにかく使いたいんだけど」
051 ジロー
「オ~アイムソーリー、アイムヒゲそ~り~イング♪すぐ終わるから待っててね~」
052 双葉
「ジロー、どうでもいいから、その寒いの止めてくれるかな……」
053 ジロー
「オ~脳天かち割りショック! ボクのワンダフルなトークはユーには通じませんか~?」
054 双葉
「いや、ってか古いし」
055 ジロー
「オ~誰がいつ古いと決めたんですか~?」
056 双葉
「イヤ、だから……」
057 ジロー
「オ~ユ~答えられな~い。つまり古いという証拠無~い♪」
058 双葉
「……うっせぇんだよ! ギャーギャー言ってないでさっさと使うなら洗面所使え、終わったならとっとと出てけやヴォケ!」
059 ジロー
「オ~ノ~ッ! 双葉切れるとマジ怖い!」
悲痛な叫びと共に逃げ出すジロー。
これ幸いと言わんばかりに双葉は洗面所に入りドアを閉めた。
(SE:水流す音)
060 幹雄
「相っ変わらず兄貴は姉貴怒らせるの好きだよなー」
061 ジロー
「オ~ノ~、ミーはそんなマゾじゃアリマセンー」
062 幹雄
「……マゾって何? 謎な人って事?」
063 ジロー
「ノ~ノ~、全然チッガイマース」(ガにアクセントを置くと似非外人臭く聞こえます)
064 幹雄
「えーじゃあなんだよー」
065 ジロー
「ユーまだチャイルドデース、まだファーストデース」
066 幹雄
「チャイルドって子供って意味なんだろ? そんな事言ったら兄貴だって父さんと母さんの子供じゃねーか。それにファーストって一番って意味なんだろ?」
067 ジロー
「ノ~ノ~、それチッガイマース! って双葉?」
不毛な会話が続く中、双葉が洗面所から出てきた。
068 双葉
「外でギャーギャーうるさい。あとミッキー派手に寝癖ついてるよ。んで馬鹿ジローは顔に歯磨き粉付いてる」
069_1 幹雄
「え!?」
069_2 ジロー
「え!?」
途端に揃って洗面所に駆け込む兄弟。
070 幹雄
「俺が先だ兄貴!」
071 ジロー
「オ~ノ~、ビッグブラザーのミーが!」
072 双葉
「……勝手にやっててよ、もう……って?」
突然背中に何かが抱きついてきた。
それが妹の三恵子だと気付くのにはそう時間は掛からなかった。
さほど体力があるわけではない双葉からすれば、幾ら三恵子が適度に痩せ型だったとしてもそれなりの負担であった。
073 双葉
「ミエちゃん……な、なんでいきなり乗り掛かって来るのかな……」
074 三恵子
「おっはよ~っ♪ 今日も結構大きな声出してたね、双葉姉ちゃん♪ みっきーがすっごい顔してたよー」
075 双葉
「そ、そうなんだ?」
076 三恵子
「まぁミエには関係ないけどねー、やっぱ小学生ってまだまだなんだねー」
077 双葉
「いや、それでも一応双子なんだからさ、少しは慰めてあげなよ」
078 三恵子
「でもミエの方がお姉さんだしー」
決して三恵子に悪気があるわけでもなければ、単なるスキンシップのつもりなのだろうが、朝から怒鳴りっぱなしの双葉からすれば辛い事この上ない。加えて、最初は軽く首周りに掛かっていたはずの腕が、だんだんと双葉の首を絞めるような形になっていた。当然、三恵子は双葉を窒息死させるつもりなど全くもって無い。それは分かっていたものの、双葉は不満を漏らさずには居られなかった。
079 双葉
(小声)幾ら日をまたいでるから誕生日違うっつってもほんの数時間の差じゃないのさ。(通常通りの声)それよりミエちゃん?」
080 三恵子
「な~に?」
081 双葉
「お姉ちゃん苦しいから離して欲しいんだけ……」
082 三恵子
「ヤダ」
083 双葉
「ミエちゃん、今すぐお姉ちゃんから離れてくれたらおやつにアイスあげる」
084 三恵子
「なんの~?」
085 双葉
(小声で舌打ち)……ミエちゃんの好物、チョコバナナスプリットで」
086 三恵子
「ハ~イ♪ 約束だよ~♪」
087 双葉
「……後でジローにたかるか、アレでも一応兄貴だし」

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